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規約改定案に関する修正意見


規約案についての意見
(西内康人 04/09/06/11:05)

特に気になった条文は以下の通りです。

『第6条(会員の権利)
 本会会員は、以下の権利を有する。
 ・総会の開催を求めること。
 ・規約およびその他の規則を制定、改廃すること。
 ・本会役員を選任、罷免すること。
 ・本会の運営に関わること。』


本条は、全規約を見た場合に、体系的に矛盾をはらんでいます。と言うのも、二号の規約その他の規則の制定改廃権は総会に属するものであって会員の権利ではありません(第十七条)。三号も同様です(第十八条)。総会の権限とその構成員との権限は区別されるべきで、この書き方だと各会員が単独で規約を改廃し、役員を任免できるように読めかねません。よって、不適切な記述です。
また、一号の権限も第十二条第二項において現れているのでここに書くことは混乱のもととも言えるでしょう。けだし、第十二条では一定数の会員によって総会が召集できるとされているのに、本条の書き方では前述したことと同様に各会員が単独で総会を招集できるように読めるため矛盾しているように見えるためです。
更に言えば、四号に掲げられていることは、会員である以上、当然の権限であって創設的な意味に乏しいともいえます。
よって、本条は削除してしまうのがすっきりしますが、おそらくこのような条文をわざわざ明記したことは何かしらの意味があるのでしょうから、少なくとも記述内容を変更して意味のある条文とするべきでしょう(困難ですが)。
たとえば、第二十八条第二項において掲げられている事務局会計の公開「義務」を、会員から見た公開「請求権」と言う形で本条に明記し、第二十八条には公開手続きに関する事項をまとめてしまうという手段があります(請求の相手方など。誰に会計公開請求したらよいかを明記すべきだということは、以前も指摘したと思いますが、未だ明記されていないのは遺憾です。)。 また、二号三号は総会における議題ないし議案の提出権として再構成してはどうでしょうか。 いずれにしても、各会員の権利を一個の条文の中にまとめるのは、規範を作成する上で難しいことですので、各条文で「〜できる。」と規定するほうが楽です。

『第7条(会費)  年会費は、1口3千円とし、減免措置などの特例やこれ以外の事例については運営委員会において承認するものとする。』
本条は、「@年会費は、一口三千円とする。A前項の規定にかかわらず、運営委員会は、減免措置その他の特例について決定することが出来る。」とした方がきれいですかね。それ以外にも気になる点がありますが後述します。

『第4条(会員の要件)
 本会の会員たる要件は、本会の目的に賛同し、本規約に定めたる会費を納めた個人または団体とする。
 団体の会員登録については、原則2口以上の会費を払っていることを要す。』


第二項が特に気になります。登録時のみ二口以上必要なのか、年会費として二口以上必要なのか、本項の書き方では前者の意味に取れますが、そういう意味でしょうか。また、『原則』なる文言が使われていますが、例外を誰が定めるのか規約から明らかになりません。強いて言えば、第七条で明らかにしているつもりなのかもしれませんが、第七条は減免措置その他の措置が取れることを明らかにしている以上、わざわざ『原則』という文言を用いて二口より軽く出来ることを第四条で定める意味は無くなります。また、会費の減免措置等と、納入口数の減免措置は必ずしも同じではありません。よって、私としては、第四条には第三項を設け、例外措置をだれがとれるのか明らかにする必要があると思います。

『第15条(会議の公開)
 総会の会議は公開とする。
 事務局は、その会議の記録を保存し、これを公表しなければならない。
 会員からの要求があれば、各会員の意見はこれを会議録に記載しなければならない。』


第二項で記録されるとされている内容がどの程度のものなのか、わかりません。議題(例、代表の選出。)までなのか、議案(例、Aさんを代表とする案。一つの議題に対して複数の議案が存在しうることに注意が必要。)まで記録するのか、議案を記録するとしてその要領でいいのか詳細が必要なのか、議案に関する採決の結果のみを記録するのか、それとも賛成反対票の数まで記載するのか、この書き方では明らかになりません。第三項で会員の意見をその要求に従って記録に残すことが規定されていることからすれば、それより要約された内容を会議録として最低限残すのでしょうが、その最低限が明らかにならなければ、会議録の保存公表制度はあまり意味の無いものになりかねません。具体化が必要でしょう。

『第24条(運営委員会の決定)
 運営委員会の決定はコンセンサス方式を原則とする。
 オブザーバーの出席はこれを制限しない。
 議事録は、事務局が即座に作成し、すべての会員に送付する。
 運営委員会への出席にかかわらず、会員はその決定に対して異議を申し立てることができる。ただし、事前に通知されていた議題についてはその限りではない。
 決定に対する異議については、運営委員会の議題に付すことを決定する。』


第一項の、『コンセンサス方式』とはなんでしょうか。全会一致のことなのか、それとも、国連総会で用いられているような拍手による採決方式のことなのかよくわかりません。後者は、国際法での『コンセンサス方式』の意味ですが、法学でこの用語を使う場合はこの意味と取られても仕方ないでしょう。だとすれば、わざわざ決議の実体的要件ではなく方法を規約において定めたことになりますが、方法を規約で定めることは不要です。現に、総会の議決方法については定めがありませんし、それで十分です。また、前者の全会一致の意味ならば、そう書くべきだろうと思います。
第二項の議事録の作成義務に関しては、第十五条で述べたのと同じ難点が指摘できます。
第三項など、各所で『議題』という文言が使われていますが、議案と区別されたものなのか、それともそうではなく違った議案が出された場合も違う『議題』として扱う趣旨なのか、意識して条文を作る必要があるように私には思われます。日常用語では議題と議案を区別しませんが、法規の作成上は第十五条で述べたように区別する場合があり、また、明確化のために有用なので区別して用いたほうがいいと思います。

『第27条(事務局の職権)
 事務局は、他の一般業務のほか以下の事務を行う。詳細は、事務局細則にこれを定める。
 ・運営委員会および例会の運営
 ・会員サービスの運営
 ・各種資料の保管・管理
 ・対外交渉
 ・各部会に対するサポート・相互調整
 ・会計』


第六号で会計が事務局の権限とされていますが、だとしたら会計という役職の人間は一体何を行うために置かれているのでしょうか。この規約には、全く、会計という役職の人間が主語となる条文がありません。規約上、事務局次長と異なる権限を与えるつもりが無いのなら、このような役職を規約上置く必要はありません。事務局規則で権限を定めるのであれば、事務局次長の中で内部的事務分担として『会計』を選出すれば事足りるからです。附則により準用されるATTAC Japan(首都圏)規約に会計の権限が書いてあればよいようにも思いますが、本規約を見ただけでは権限がわからないと言う事態はあまり望ましいものとはいえないと思います。

『第18条(総会決定事項)
 以下の事項は、総会の議決をもって決する。
 ・役員の任免
 ・前年度の決算および今年度の予算
 ・前年度の総括および今年度の方針
 ・その他、運営委員会および会員から提出された事項』


第二号で掲げられている、『前年度の決算』についてはわざわざ議決しないのが通常です。承認しなくても、支出してしまったお金が戻ってくるわけではないですから。第三号の『前年度の総括』もこれに通じるところがあります。ただ、決算・総括は問責的な意味があるので、予算や方針の決議とは意味が異なることを意識しておけば、不要な規定と言うほどではないかもしれません。そこで、私見としては、前年度と今年度が並列的に書かれている部分を修正するべきだと思います。

とりあえずは、こんなところでしょうか。

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