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ATTAC京都 2005年度総会方針(第1次草案)

ATTAC京都運営委員会


0、ATTAC京都の理念と本総会の目的

 ATTAC京都は、「もうひとつの世界は可能だ」をスローガンとして掲げる国際NGO「市民を支援するために金融取引への課税を求めるアソシエーション(Association for the Taxation of financial Transactions for the Aid of Citizens)」の活動に共鳴した京都近隣の市民・学生有志によって、2002年5月に設立されました。ATTAC京都は、多国籍企業主導の新自由主義的グローバリゼーションに対抗して、「もうひとつの京都」をつくりだし「もうひとつの世界」へとつなげていくことを目指しています。そのために、グローバリゼーションとのかかわりという視点からさまざまな課題を取り上げながら、京都に存在するさまざまな市民の運動を結びつけ、さらにそれを世界の人々の運動とつないでいく役割を果たすことを目指して活動してきました。
 今回の総会は、このような理念を踏まえながらこの1年間の活動のまとめを行い、今後1年間の活動方針を決めること、また今後1年間の活動を推進していく役員体制を確立することを目的としています。


1、 2004年度の活動のまとめ

(1)運動面

「2004京都社会フォーラム」の開催
 2004年12月、「『よりよい京都』からはじまる『もうひとつの世界』」をテーマに、日本初の社会フォーラムとなる「2004京都社会フォーラム」が開催されました。ATTAC京都はこの社会フォーラムの最初の呼びかけ団体として、実行委員会準備会の段階から終始、その運営の中心を担いました。この過程を通じて、京都で活動する様々な社会運動団体・グループとの間に協力関係をつくりあげることができました。このような協力関係に支えられ、「2004京都社会フォーラム」は、一応の成功を収めることができたといえます。これまでなかなか出会う機会のなかったさまざまなグループが、それぞれの課題を持ち寄りながらひとつの場につどい、「もうひとつの世界」を共通のテーマにして議論をはじめたことは、今後につながる貴重な経験となりました。
 この「2004京都社会フォーラム」においては、「ATTAC全国ネットワーク」として、郵政民営化、通貨取引税(トービン税)の2つのテーマでワークショップを行いました。これを契機に、トービン税ニュースレターの共同編集など、他地域のATTACとの協力関係が具体的な形になってきたことも重要な前進といえます。

トービン税、郵政民営化問題への取り組み
 トービン税と郵政民営化については、ATTAC京都独自にも重要な取り組みを行いました。
 トービン税については、2004年11月にATTACフィンランドのミカエル・ブックさんを招いての講演会を行いました。この講演会に際しては、京都選出の国会議員にアンケートを送り、6名の議員から回答が寄せられました。毎月1回のトービン税部会も継続的に開催されるようになり、国際金融の入門的な学習会やキャンペーンについての相談も系統的に行われるようになってきました。
 また、郵政民営化問題については、2005年6月例会で郵政ユニオンの方を招いた学習会を行ったほか、「郵政民営化に異議あり!行動・京都実行委員会」にも加わり、2回のデモなどに取り組みました。公共サービス民営化の問題点を明らかにし具体的な行動をおこすという点で、郵政民営化法案の参議院での否決という事態にいたる過程で、ATTAC京都としても小さいながら欠かせない役割を果たしたといえます。

(2)組織運営の面

運営委員会・例会の定例化
 昨年度の総会決定にもとづき、運営委員会・例会の定例化をすすめました。
 例会は、様々なテーマでの学習会を中心に、会員の意見交換と交流の場としての役割を果たしています。ただ、例会への参加はまだまだ少なく、会外の市民の参加を促す場としてはもちろん、会員どうしの交流の場としても、その機能をじゅうぶんに果たしているとはいえない状況があります。会員への案内が遅れがちであったこと、会外への広報がじゅうぶんにはなされなかったことがその原因だといえます。
 運営委員会については、会場や議題の告知が遅れがちで、話し合う内容も短期的な取り組みが中心となり、中長期的な視野で活動方針を議論するということが充分にできませんでした。

事務局機能の充実に向けた取り組み
 事務局員は事務局長が任命する、という規約の規定にもとづき、事務局機能の充実をはかりました。不定期ではありますが、ニュースレターや企画案内の会員への郵送が行われるようになるなど、一定の前進がありました。ただ、事務局会議が定期的には開かれず、このことが運営委員会の議題の未整理や、会員への情報の周知徹底の遅れ、会外への広報の不足につながりました。

「かたっく」発行
 ニュースレター「かたっく」の定期的な発行はできませんでした。編集方針の議論や記事の執筆分担など、組織全体で責任を持って支えるという体制が欠如していたことが最大の要因だといえます。このことともかかわりますが、運営委員会・例会へ参加できなかった会員への情報提供も、質・量の面で不充分なものとなりました。

部会活動
 昨年度の総会方針では、トービン税、食と農、地方自治、労働、ODA、平和運動の6つの部会が独自の部会方針を提示していました。個別の部会方針の存在は、グローバリゼーションのもたらす弊害にさまざまな角度からせまっていく姿勢を具体的に示すものとして意義のあるものでした。しかし、この1年間を通じて、トービン税部会など一部の部会を除いて、部会として独自の活動を継続することができませんでした。
 その原因としては、会員数がまだまだ少ないもとで、特定のメンバーが2つも3つもの部会で中心的な役割を果たさねばならない状況があったこと、また、部会の固定メンバーが少なく部会中心メンバー個人任せの活動だったことがあげられます。


2、2005年度方針

(1)運動方針

 今年度重点的に取り組む課題として、まず、郵政民営化、WTO/FTA問題、憲法「改正」問題、CTT(国際通貨取引税)キャンペーンの4つがあげられます。

@郵政民営化問題
 小泉政権は、「郵政民営化」を“改革の本丸”と位置づけ、法案が参議院で否決されると衆議院を解散してまでその実現に執着してきました。総選挙では与党が3分の2の議席を得て圧勝しましたが、これは小選挙区制という選挙制度によって極端に増幅されたものであり、実際に郵政民営化法案賛成派に投じられた票と反対派に投じられた票の差はわずかであることに注意する必要があります。
郵政民営化は、日米の大資本による公共サービスの私物化にほかならず、社会的弱者を金融サービスから排除するなどの問題点を持っています。小泉政権は、これを「小さな政府」実現の突破口と位置づけ、社会保障の抑制や大増税などにつなげようとしています。郵政民営化は、本格的な“弱肉強食社会”への突破口ともなりかねません。ATTAC京都は、京都の郵政労働者や市民グループをはじめ、他地域のATTACグループとも連携しながら、郵政民営化、公共サービス民営化の問題点を広く明らかにしていく活動を引き続き重視し、強めていきます。
<具体的取り組み>
● 「郵政民営化に異議あり!行動・京都実行委員会」への参加。

AWTO/FTA問題
 2005年12月、香港にてWTO閣僚会議が開催される予定です。各国の利害と思惑の対立から農業分野での交渉がすすんでおらず、香港会議で実質的な合意を結ぶのはむずかしいとの見方もあります。新自由主義的グローバリゼーションに対する世界の人々の抵抗を結びつけることで香港会議での実質的な合意を阻み、WTO交渉を頓挫させることが現実的に可能となっています。実際に交渉を頓挫させることができれば、WTOを自由貿易のルールを決めて押しつける機関から、各国の利害調整の機関に格下げする展望が開けます。
 一方、WTO交渉が行き詰まる中で、FTA(自由投資協定)を締結しようという流れも強まっています。しかし、WTOもFTAも、多国籍企業の利益拡大のために自由貿易を推進する手段であるという本質は何ら変わりません。今後、FTAをめぐる動向にも注意を払っていく必要があります。
 ATTAC京都として、WTO/FTAについて、系統的に情報を収集し、それを整理して、各種の社会運動団体や市民に提供していく必要があります。また、この問題を各運動団体・グループとのネットワークを築いていく際の一つの焦点としていくためにも、個別の分野での規制緩和、「構造改革」の現れが、こうしたWTO/FTAをめぐる動きと密接にかかわっていることを明らかにすることが必要です。
<具体的活動>
● ブログなどを活用した情報発信。
● 学習会・講演会の開催。
● 12月香港会議への代表派遣と京都での抗議集会および報告会の開催。

B憲法「改正」問題
 日本国憲法「改正」の動きがすすんでいます。焦点は戦争の放棄と戦力の不保持を定めた第九条です。この背景には、海外展開した日本企業の権益を保護するために自衛隊の海外派兵を可能にしようという思惑があります。新自由主義的な「構造改革」だけでなく、憲法「改正」による軍事大国化も、多国籍企業本位の社会をつくろうという動きの現れにほかなりません。
 ATTAC京都として、憲法「改正」とグローバリゼーションが密接にかかわっていることを明らかにしていくとともに、新自由主義的「構造改革」の個別の弊害に取り組む個々の運動と平和運動との結びつきを強めていくために力をつくします。
<具体的活動>
● 講演会・学習会の開催
● ブックレット「グローバリゼーションと憲法・教育基本法」の改訂
● 各種行動への積極的参加・協力

CCTTキャンペーン
 カナダやフランスなどに続いて、2004年7月にベルギーでも通貨取引税が法律化されるなど、トービン税への注目、その導入をもとめる運動はますます高まっています。日本においても、2004年11月のATTACフィンランドのミカエル・ブックさんの来日以来、各地域のATTACが連携して、ニュースレターの発行などCTTキャンペーンについての相談が始まっています。
 CTT(国際通貨取引税)の導入のための運動は、何といってもATTACの活動の要となるものです。「もう一つの世界」実現に向けた具体的な提案を持っていることは非常に大きな意味があります。そのような位置づけを確認しながら、CTT導入の意義を、新自由主義的グローバリゼーションがもたらしている個々具体的な弊害との関連でできるだけ分かりやすく打ち出していく工夫が必要です。
 トービン税部会を中心に相談をすすめていきますが、たんに部会まかせにせず、ATTAC京都全体として取り組んでいくことが大事です。
<具体的活動>
● 毎月1回、トービン税部会を開催し、国際金融に地手の学習会や、CTTキャンペーンについての具体的な相談を継続的に行う。
● フライヤー、リーフ、ブックレットなど宣伝物の作成。
● 講演会など対外的な企画。


 その他にも、労働や食と農など各部会での取り組みをはじめ、新自由主義的グローバリゼーションとの関わりという視点から、地方自治、ODA、環境など、会員の興味関心に応じて、様々な課題を取り上げての企画・取り組みを積極的に行っていきます。
 これら全体の取り組みを通じて、関連する各運動団体・グループに積極的に声をかけ、可能な形での協力を追求していきます。ATTAC京都の企画に参加を呼びかけるとともに、こちらからも積極的に各団体・グループの取り組みに参加していくようにします。独自に情報交換・意見交換の機会も積極的につくり、ATTAC京都の個々の会員が個人としてのつながりを持つだけでなく、ATTAC京都が組織としてのつながりを持てるようにしていきます。そのためにも、代表や事務局長の積極的な行動が必要です。また、ATTAC京都の理念や活動を簡単に紹介するパンフレットなどの作成も行います。

(2)組織運営

例会・運営委員会の充実
 活動の軸として、毎月1回ずつの例会・運営委員会のサイクルを定着させ、内容の一層の充実をはかっていきます。
 例会は、会員の興味関心に応じてさまざまなテーマを取り上げながら、会員どうしの交流をはかる場として機能するようにしていきます。また、身近なさまざまなテーマを入り口に、広く市民の参加を促す場としての機能も持つようにしていきます。参加を増やすために、会員への案内や会外への広報も早い段階から積極的に行うようにします。
 運営委員会は、総会で決定された方針にもとづきながら中・長期的な視野でATTAC京都の活動が議論できるよう改善をはかります。
 例会や運営委員会に参加できなかった会員へ、その内容がしっかり伝わるようにするとともに、活動への提案や意見も出してもらいそれを反映していくようにします。

事務局機能の充実
 例会・運営委員会の月1回のサイクルを円滑にまわしていくために、事務局機能の一層の充実をはかります。事務局長、会計、事務局長任命の事務局員によって構成される事務局会議を適宜開催し、運営委員会の議題を的確に整理し、必要な資料の準備を行うようにします。また、事務局会議では、会員への郵送作業など事務的作業についての打合せを行い、会内に協力者を募りながら着実に遂行していきます。

ニュースレター「かたっく」の定期発行
 例会や運営委員会へ参加できなかった会員へ情報を伝える手段として、また、会外の市民にATTAC京都の活動の様子を伝える手段として、ニュースレター「かたっく」の定期的な発行を行います。当面、簡素な内容でも継続的に発行し、月1回の定期発行を定着させることを目指します。定期発行の体制を確立しつつ、内容の充実をはかっていきます。
 「かたっく」の充実を軸に、将来的にはブックレットの発行なども担える編集局を設置できるよう、編集作業への金銭的な補助の導入も含めて、今後検討していきます。

会員拡大
 ATTAC京都の理念を実現していくためには一人でも多くの仲間が必要です。わかりやすいリーフレットもつくり、積極的に会員を募集します。また、団体会員も積極的に募っていきます。


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