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KATTAC創刊0号 2002.6.15(土)

attac 京都定例会は、毎月第三土曜日です。だから、次回は7月20日の予定です。


5月9日attac京都 設立集会は、こんな感じで…

 ATTAC京都の立ち上げというんで、愛犬に留守番を言いつけて京大に向かった。
 どんな人が来てるのかなと思って会場を見回すと、年齢層は20代の学生から全共闘世代をへて60代、それ以上まで、わりと満遍なくバランスがとれている印象。配られた資料に目を通す人、知り合いと話し込む人、入口で販売している書籍を見る人など、60人ほど。女性は半分より少なかったと思う。
 司会者に紹介されて、ATTAC京都代表の肩書きでジーンズ姿の大学教員がマイクを握る。話はATTACとの出会いから始まり、自分の専門分野である科学技術社会論がグローバリゼーションの問題とどう係わってくるかを、遺伝子組み替え作物の例など引きながら、語る、語る。そしてATTAC京都の今後について、いろんな人の出会いの場にしたいとのこと。出会い系市民活動? いいかもね。
 続いてATTACジャパン(首都圏)代表のスピーチ。先日NHKで放映された番組のビデオを流す。英語が共通語じゃない「もう一つの世界」が、すでにそこにあるって感じが伝わってくる。
 3番目のスピーカーはATTAC関西の代表。『WTO徹底批判!』という本を翻訳出版したばかりで、ATTACの活動に興味があるなら、まずはこの本を買って読むようにと強調(マジ必読。陰謀本より面白いこと請け合いです)。それから「反グローバリゼーション」という言い方についての話。マスコミはATTACみたいな活動にすぐ「反」何々ってレッテルを貼るけど、べつに「人やモノ、情報が国境を越えて交流すること」に反対してるわけじゃない。今現在進行中の、利潤追求最優先のグローバリゼーションに反対しているだけ。
 散会後の交流会にも20人以上が残った。さすがに酒も入るとあちこちでサヨク用語が頻出してくるが、ま、ニューエイジ系に染まってるよりは愛嬌がある。でもオジサンたちばっかり元気だと、若い女の子は入って来づらくなるからね、出会い系ブランチATTAC京都としては、女子大生勧誘のためにも(オルグなんて言ってちゃダメYO)、若者ががんばんなきゃね、と思ったのでした。 感想文:島田理聡


「世界は売り物じゃない!」
 「市場にまかせればすべてうまくいく」という市場万能主義的・新自由主義的な経済のグローバリゼーション。しかしそれは水や医療から先祖伝来の知恵まで、あらゆるものを売買の対象とし、世界規模での経済競争を推し進めようということにほかなりません。このグローバリゼーションによって、貧困や環境破壊、社会福祉の後退、労働条件の悪化などの諸問題がますます引き起こされています。これらの公正な解決をめざして、1998年にフランスで生まれたNGOがATTACです。
 為替取引に0.1%の税金(為替取引税または提唱した経済学者の名から「トービン税」と呼ばれます)をかけることによって、1997年のアジア通貨危機のような破局をしばしばもたらす投機的金融取引を抑制することができます。同時にその税収、年間約1600億ドルは世界中の貧困対策にふりむければ、そのために必要な金額をほぼ満たすことが出来るのです。
 現在フランスでは、会員は3万人近くに達し、全国の自治体も数多く参加しています。これと並んで世界40ヵ国以上でATTACが生まれ、「金融界の利益のために民主主義が失った空間をとりもどそう」「もう一つの世界は可能だ」をスローガンに、先進国と途上国の垣根を越えて活動する国際的なネットワークをつくりあげています。


ATTAC京都誕生
 ATTAC京都は、このような世界のATTACの活動に共鳴した京都近隣の市民有志が、ついこの間、5月のはじめに設立したものです。2001年秋に設立されたATTAC関西、ATTAC Japan (首都圏)に次ぐ日本では3番目のグループです。
 ATTAC運動の直接の目的は国際為替取引に課税することですが、日常の実践としては相互に問題意識をもちよって勉強や討論をすることを大切にするのがATTACの持ち味です。
 また、同時にそれぞれの取り組みや経験を披露して交流する場として機能することも目指したいと考えています。5/9のATTAC京都設立集会に集まった人々は、市民運動に参加している人はもちろん、ジャーナリスト、研究者もいれば、ミュージシャン、フリーター、失業者、主婦の方もいました。こうした多様なあつまりであればこそ、それぞれの視点から経済のグローバル化の影響を浮き彫りにしていくことができるはず。
 そして、なにかアクションを起こすときは、「この指とまれ方式」で、集まった人たちで実行するという形をとります。全体を画一的に一致させるのではなく、それぞれの考え方や行動のスタイルの違いを生かし、さらにお互いにぶつけ合うことで新しいものを生み出すのがねらいです。


もぉ、読まはった?  attac・グローバル化関連書籍紹介 ATTAC理解のためにオススメの3冊


◆『WTO徹底批判!』 スーザン・ジョージ著 杉村昌昭訳 作品社1300円
 今も急激に進行しているグローバル化の流れの、何が問題なのかを知る恰好の入門書。著者はWTO(世界貿易機関)がはらむ数々の問題を明らかにしながら、資本が支配する現代の世界の仕組みまでも見透かしてみせる。佐久間さんの解説も秀逸。
 WTOは、何らの民主的手続きによらず選ばれた官僚らによって方針が決定され、巧妙に「南」の国々を運営・交渉の蚊帳の外に置き、いわゆる多国籍企業の利益を最優先する仕組みを作り上げている。WTOルールは報復的な関税による罰金徴収という形で強い拘束力を持つ一方で、どんな国際法にも従属せず、環境や安全に関する国際条約や、各国の法律や地方条例にも従う必要がない。貿易にとって障壁になるとみなされれば、環境保護政策も、国民の安全や労働者の権利を守る政策も、提訴されて制裁を受ける可能性がある。環境や労働条件に配慮した製品もそうでない製品も同等に扱わねばならないし、様々な安全基準は最低レベルへと引き下げられるのが常だ。水道や教育・保健といった生存に不可欠な公的領域までも国際市場に繰り込みむことは、金のある者だけが選択の権利を持つことであり、未来への選択から政治性を排除する。
 貿易の自由化・民営化という曖昧な表現で押し進められているのは、実際にはジュネーブの密室で巨大企業の利益のために作られた路線であり、あらゆるものの"商品化"であって、人々を泥沼の競争に放り込む資本の怪物だ。それは私たちが望む未来の姿ではない。(島田)


◆『季刊ピープルズ・プラン』 No.18 (2002,Spring) ピープルズ・プラン研究所・現代企画室1200円+税
 本書の中で「【対論】グローバリゼーションと資本規制」−トービン税をめぐって−」と題して書かれた、平川均(名古屋教員)と海野八尋(金沢教員)の論考を取り上げる。
両者のトービン税への直接的評価は賛否の対を成してはいるが、attacの活動をテコとしてみる時、両者の指摘が非常に近しいものであることは、何とも皮肉である(読んでる途中にほくそ笑んでしまった)。
 共通認識として、トービン税それ自体が有する市場経済に対する限定的な規制力を認めつつ、共に「トービン税に反グローバリゼーション戦略を持ち込む必要がある」と結論づける。白眉を得たり、とはこのことか。本書に収められたこの他の小論も興味をそそる内容となっている、購読を勧める。(吉澤)
 
 
◆『インパクション』 130号(2002.5.10) インパクト出版会1200円+税
(スーザン・ジョージ「とにかく、まずシステムに風穴を穿たなければ」●インタビュアー廣瀬純氏)
 表題に倣えば、ATTACこそ「風穴の穿たれた組織」といえるかも。私も、「グローバリズム」という名のアメリカ覇権システムに対するオルタナティヴとして「すべての為替取引に0.1%以下の低率課税トービン税)を行うことで投機を抑制し、その税収を国際的に再分配する」という提唱にひかれて、京都での発足集会に足を運んだ一人。
 だが、インタビューを読むと、その「ATTACの創立以来の最重要課題」も内部において必ずしも共通の認識になっているわけではなさそう。それにしても副代表である彼女が、自らの考えは必ずしもATTACの普遍的に共有されている認識ではないといえる組織。まずは、ATTACこそが風穴の穿たれた組織であろう。(真麻)


attac 京都メンバー紹介 その1 平川秀幸さん
 星が好きで、子供の頃の夢は天文学者でした。その後物理学に興味を持って大学院まで行きましたが、科学の抱える様々な問題を考えないわけにはいかず、結局、今やっている科学技術社会論へと流れ着きました。
 現代の問題を考えるにつけ、何とも言えない嫌な「臭い」を感じてきました。その「臭い」の正体を知りたいと思ってきました。
 「グローバル化問題」を考えることは、どうもその「臭い」の大元に迫れそうな予感があります。貧困も環境も紛争も一つの根っこに連なっていることが、抽象的な理念でなく具体的な仕組みとして、見え始めてきました。
 巨大なシステムの全体を力で壊そうとするのではなく、「一掴みの砂を歯車に投げ込もう」という、きっと実現可能な一歩から、未来を取り戻そうとすること。僕が惹かれ、またこれまでの社会運動の枠を越えてattacが幅広い支持を受けるのは、そんなところにも理由がある気がしています。


イベント・集会情報6月〜7月

6月16日(日)
★「STOP!有事法制6・16全国大集会」/午後1 時〜/東京・代々木公園B地区(JR原宿駅、地下鉄千代田線代々木公園駅下車)/呼びかけ陸・海・空・港湾労組20団体、平和をつくり出す宗教者ネット、平和を実現するキリスト者ネット★「戦争と科学を考える」/午後1時〜/京都大学農学部大講義室(W100)(市バス17系統「京大農学部前」下車)/講演石田紀郎「公害・環境問題と科学」/荻野晃也「研究者はどのように核問題と関わってきたか」/池田浩士「京都学派と『有事』の思想」/入場料300円/主催「戦争と科学を考える」実行委員会

6月20日(木)
★「コトパンジャン・ダム被害者住民を支援する会学習会」午後6時半/エルおおさか5F研修室3(京阪/地下鉄天満橋下車西へ5分)/参加費500円(学生300円)/主催コトパンジャン・ダム被害者住民を支援する会

6月22日(土)
★「W杯対抗アクション・6・22反戦平和世界同時行動デー東京行動」/午後2時集合、2時30分開会、4時デモ出発/渋谷・宮下公園(JRほか渋谷駅下車)/主催実行委・東京(連絡先ATTACジャパン、在日韓国青年同盟、許すな憲法改悪!市民連絡会、日韓民衆連帯全国ネット、全国FAX通信)
★「債務と貧困を考える」連続講座「牧師の見たパレスチナ-パレスチナ難民キャンプ訪問・報告会-」/午後2時〜5時/講師小林聡(ジュビリー関西ネットワーク代表/京都聖ステパノ教会牧師)/京都YWCA105号室(地下鉄丸太町駅より北へ、出町柳駅より南へそれぞれ徒歩5〜10分、護王神社角を西入ル一筋目)/参加費一般500円、学生300円/主催ジュビリー関西ネットワーク

6月25日(火)
★「アジア民衆に連帯する闘いを!6・25京都集会」/午後6時30分開会/ハートピア京都(市営地下鉄丸太町駅下車)/主催アジア共同行動・京都

6月29日(土)
★上映会「Mardiyem 彼女の人生に起きたこと」(海南友子監督)/開始時刻(3回)午後1時30分、午後4時30分、午後6時30分/京都YWCAホール(室町出水上がる)/主催京都YWCA、DFL、京都平和の集い実行委員会、『週刊金曜日』京の読者会/参加費1000円
★ATTAC Japan(首都圏)定例会「トービン税」/午後6時開始/渋谷区勤労福祉会館第1洋室(渋谷駅ハチ公口前(駅前)の十字路をまっすぐ新宿方面へ(JR線に沿っていく)⇒マルイヤング館を右手に見て左側の坂を上がる(公園通り)⇒左手にあるパルコの向い側)/資料代500円/主催ATTAC Japan(首都圏)

7月7日(日)
★中村哲さん講演会「続・平和の井戸を掘る」-アフガニスタンからの報告-/午後1時30分開場、午後2時開演/京都ノートルダム女子大学ユニソン会館/参加費300円/主催ピースウォーク京都
7月13日(土)
★ATTAC関西七月定例会「フランス農民連盟とラルザック農民の闘い」/報告上坂喜美さん(三里塚闘争に連帯する会代表)+杉村昌昭さん(ATTAC関西グループ代表)/午後2時開演/スペースAK(地下鉄谷町線・堺筋線/南森町、JR東西線/大阪天満宮下車。天神橋筋商店街を南へ徒歩5分程度、アーケードが終わったところを右(西)へ)/主催:ATTAC関西

7月21日(日)
★上映会『教えられなかった戦争・沖縄編-阿波根昌鴻・伊江島のたたかい-』(高岩仁、映像文化協会)/開始時刻(2回)午後1時30分、午後4時/キャンパスプラザ京都第三講義室/参加費前売800円(当日1000円)/主催Do.net


〈グローバリゼーション、こんなんアリ?!〉
・世界の金持ちベスト3(ビル・ゲイツおよびマイクロソフト社幹部二人)の年収の合計は、最貧国48ヵ国の収入の合計を超えています。(『徹底討論WTO』市民フォーラム2001編P.52より)

・世界の大金持ち225人の収入を合わせると、世界人口の半数の収入に匹敵する額になります。(『徹底討論WTO』市民フォーラム2001編P.52より)

・世界80ヵ国で一世帯あたりの収入が10年前より低下しており、1987年と比べて絶対的貧困(一日1ドル以下の収入)で暮らす人々が二億人以上増えています。(『徹底討論WTO』市民フォーラム2001編P.52よ)り

・アメリカのように農作物の過剰生産に悩む国でさえ、満足に食糧を手に入れることのできない人が国内に3600万人以上もいます。("U.N. Dead Wrong About Engineered Crops" by Anuradha Mittal, Knight-Ridder/Progressive Media Services 配信より


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