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KATTAC   1号 2002.7.20(土)


かたっく特派員(?)通信
真麻のでたとこ旅日記
〜北タイの女は解放されているか?
                       (在野真麻)

タイの風景

 北タイの農村で出会った女たちは劣悪な条件下の労働にもかかわらず、明るく逞しかった。
 女たちはたいてい二つも三つも収入の得られる仕事をかけ持ちしている。「この村にはなんらかの仕事がある」と言い、「隙間」で仕事をしている。わたしのステイ先のお母さんは6時をまわるともうミシンを動かして内職を始めていた。農作業に出る前である。とにかくここの女性は働き者だ。「日雇い」と呼ぶ農作業に従事しながら、農閑期や一日の隙間の時間で実によく動く。
 エイズのキャリアで患者のネットワークを作る32歳のライパット、まだ20代のころがんの夫に死別した31歳のオラッピム、「村の電話」の雑貨屋を切り盛りする31歳のサムルーン、美容師で店を構えている35歳のマリー、…43歳のキャオは「なんでも屋」と言って明るく笑うが、多くのひとが雇われ農業以外にも生計の手段を持っている。
 勿論、男たちの失業率が高く、彼女たちも金になる仕事をしないと生活ができないという側面はあるだろう。しかも、北部の農村では「婿取り」が一般的で、女たちの多くは副業を探し出して村に根をはる。女の子が老いた親の面倒をみるという社会なのだ。

 タイ・パヤオで出会ったエイズ患者の自助グループのリーダー,ライパット。
 32歳の彼女は生まれて2ヶ月の子どもをエイズでなくした。幼馴染みだった夫もエイズで死亡。夫の昔の恋人もエイズで亡くなっているという。彼女自身も感染しているが、まだ発症はしていない、らしい。さっぱりとした性格の行動派で、いつも50ccのバイクで村の患者たちの家を訪問している。でもバイクで走るときの風圧は、彼女の薄い胸に堪えるらしく、つらそうだった。発症はしていないというが、上履きを縫う内職(一組70サターン)と、母親の餅菓子を作る仕事から得られるわずかな金が生活の糧のすべて。
ライパット氏 義務教育(小6)を終えただけで大人たちとともに田んぼで働き、生活のために、子どもは誰もまだ手をそめていなかった密造酒を作り、売っていた。17歳で化学工場労働者に。薬品を扱う危険な工場だった。27歳で結婚したが、夫と生活したのは2年だけ。彼が亡くなったのは、彼女が工場労働をして貯めたお金で家を建ててすぐのこと。
 婿取りが一般的な風習であるこの村には、女性の仕事はいくらでもあると彼女たちはいう。
 実際、村の女はほとんど仕事をもっている。彼女たちが「日雇い」と呼ぶ他人の田んぼでの農作業の手伝いをしながら、農閑期を中心に市場の売り子から、ミシンの内職、床屋、自営の駄菓子屋まで、仕事をみつけては何でもやっている。農作業の手伝いといっても重労働だが一日100B(300円)がやっと。それも仕事のある日だけ。副業しないとこの国境の県では生活できないのだ。しかし、タイにはもっと貧しい村もあって、ここは仕事があるだけましだ、とヨソの県で生まれた女性は言う。
 彼女たちは「専業主婦でいられる日本の女が羨ましい。ここでは男も失業しているので、女も働かないわけにはいかない」と言った。わたしはそこで慌てて、女性の自立という観点からみれば専業主婦が必ずしも解放されているというわけではない、と「意見」を言った。
 この村には男の仕事がないから、出稼ぎにいく。その出稼ぎ先で女性と交わり、エイズになる男性が多い。女性の多くは夫からの感染であるという。しかし、普通のこととして家事も育児も行うタイの男性をみていると、彼・彼女たちのほうがずっとジェンダーフリーを生きていると思う。日本の女は経済力がないために離婚したくてもできないのだ、というと、理解できないという顔をされた。
 ここでは離婚は頻繁で、当然女の持ち家なので、男が出ていく。男性のエイズ患者で5回結婚したというひとがあったけれど、それもひとえに仕事を転々として、行く先々で結婚しているからだという。


マクドナルドを考える!? ジョゼ・ボベ氏、収監さる
……でも、10月には来日しはるらし

ボベ氏  あなたはこのニュースレターをどこで、どのように手にされたであろうか? あなたは「ジョゼ・ボベ」という名前を聞いたことがあるだろうか?
 1999年の8月12日。フランス農民同盟の有志10人が、当時フランスの小さな町に建設中だったマグドナルドを電動ノコギリなどで「切り刻んだ」。ボベはその10人の中でも主犯格とされ裁判所にて係争中であった。また、ボベは先頃のイスラエルによるパレスチナ攻撃にあって軟禁状態となっていたアラファト議長らの「人間の盾」となって、その議長府に入ったことでも話題を集めていた。
 そのボベが6月19日、この「マクドナルド」事件での判決(懲役3月)を受け、刑務所に収監された。ボベは、10台のトラクターを伴い数百人の支援者と共に、刑務所に向かい「これは私個人の投獄ではなく、1つの運動を投獄することである」と語った。
 この言葉の意味を象徴的に示したのが収監手続き(刑の執行)の意図的な遅延である。ご存じのようにフランスでは大統領選挙と総選挙が引き続き、政府側にとっては「無用な刺激」は避けたかったらしい。反グローバリゼーション運動の旗頭となっているボベの存在はフランス政府にとっても頭痛の種なのである。
 蛇足ながら、ボベが住んでいた南フランスのラルザックという農村で、1981年軍用基地反対のための大集会が持たれたが、ここに日本から参加したのが三里塚(成田空港反対闘争)の農民たちであった。この時、日本政府はビザの発給を意識的に遅らせるといったセコイ真似で「対抗」してくれたものである。
 最後に、「どうしてマクドナルドが反グローバリゼーションと関係あるの?」と疑問を持たれる方へ。ここでお答えするのは簡単なのですが、ハンバーガーを口に放り込む前にご自分で頭をひねってお考え下され。  (文章:吉澤)


もぉ、読まはった? attac・グローバル化関連書籍紹介
◆『ODAをどう変えればいいのか』

    藤林泰・長瀬理英 編著 発行:コモンズ     定価:2000円 2002年6月10日発行
 この本は、92年に出版された『検証ニッポンのODA』(学陽書房)の後続として、地域自立発展研究所(IACOD)のメンバーによって書かれています。『検証ニッポンのODA』はODAに関心を持つ人たちの間で、一度は手に取られる本でしょう。今回、『検証〜』のちょうど10年後に発行された『ODAをどう変えればいいのか』は、この10年間で日本のODAを取り巻く環境がどのように変わり、またどこが変わっていないのかを痛烈に訴えています。
 取り上げられている事例は、日本のODAの集中している東南アジア地域が主であり、その中でも特にインドネシアのODA問題に多くのページが割かれています。『ODAを〜』の著者の1人でインドネシア研究家の村井吉敬さんは、21世紀初の独立国:東ティモールの独立前後の事情について事細かに書かれています。
 日本のODAは独立前には東ティモール占領を下支えし、独立後は過度な支援により東ティモール人独自の国づくりを妨害している、と強く批判しています。また、インドネシアの事例はもう1つ取り上げられており、日本のODAによって作られ、人権侵害を引き起こしているインドネシアのコトパンジャンダムについてです。こちらは、日本で初のODA関連裁判を起こす『コトパンジャンダム被害者住民を支援する会』の久保康之さんが分かりやすくまとめています。
 全体を通してみてみると、第7章で省庁とNGOの協議の重要性が述べられ、また、本の随所で「ODA四指針」、「ODA大綱」に続く「ODA基本法」の制定の必要性が述べられていました。
(紹介 高垣直尚さん=ジュビリー関西事務局長) 


ATTAC京都グループ6月例会(02/06/15@ウィングス京都)報告
グローバル化の中の遺伝子組み替え作物
    講演:平川秀幸(ATTAC京都グループ代表、京都女子大学教員)  まとめと報告:島田

●遺伝子組み替え作物の現状
〈生産量の拡大〉1996年に本格的な商業化が始まって以来、遺伝子組み替え作物GMC(Genetically Modified Crops)の生産は急速に拡大し、現在も頭打ちの気配はない。2001年の作付け面積はアメリカ・アルゼンチン・カナダ・中国など合わせると、1996年の30倍、約5260万ヘクタールと推定される。

〈GMCの種類〉現在生産されているGMCは第一世代と呼ばれるもののうち、主に「除草剤耐性」や「害虫抵抗性」を付与されたものだ。
 除草剤耐性は特定の除草剤(ラウンドアップなど)に対して強い耐性を持たせるので、作物をよけて雑草にだけ農薬を散布するという重労働が緩和され、畑全体に農薬を散布すれば良くなる。一気に雑草を枯れさせ取りこぼしがなくなるので、農薬散布の回数が減り結果的に農薬使用量も減ると言われている。
 Bt菌(バチルス・チューリンゲンシス)の遺伝子を組み込んで害虫抵抗性を持たせたGMCは、鱗翅目の昆虫に対する殺虫成分を自ら生成し、殺虫剤の使用量が減ると言われている。Bt菌そのものは、自然農法でも殺虫剤として利用される土中細菌で、鱗翅目以外の哺乳類などに対する毒性はない。
 これら除草剤耐性と害虫抵抗性にウイルス抵抗性を加えて、GMCの第一世代と呼ばれているが、農作業の軽減など生産者の利点を追求したものである。

 第二世代では消費者の利益や新たな応用分野を追求するGMCが開発されている。
高付加価値食品としては、栄養成分を改良した作物(βカロチンを多く含むゴールデンライスなど)が開発されている。環境修復工業原料としては、植物の環境浄化能力を利用した環境修復(bio-remediation)や、化学汚染防止のための生分解性プラスチックなどがある。難環境耐性のGMCとしては、乾燥地や塩害地など過酷環境でも育つ品種の開発が進められている。

●遺伝子組み替え作物の問題点
1.リスクの範囲
 〈生物学的リスク〉一般にGMCへの不安を感じる人々や、その不安を払拭しようとする専門家が問題にするのは、健康リスク(作物そのもののアレルギー性や、導入したマーカー遺伝子の抗生物質耐性が腸内細菌へ拡散する可能性)と、生態リスク(導入遺伝子の意図せざる拡散や周辺の標的外生物への影響、より強い耐性病原体・雑草・害虫の発生)だろう。

 しかし健康リスクや生態リスクにも、生物学的にではなく、社会的な要因によって生じるものもある。GMCの導入によりモノカルチャー化が進み(農業の大規模化・工業化、換金作物偏重、市場依存)、小規模農民の貧困化・自給農業の衰退から栄養不足(飢餓)が生じるという健康リスクもあるし、農業生態系の均一化・脆弱化という生態リスクも考えられる。
 
 〈社会的リスク〉モノカルチャーの進行の他にも社会的要因としては、アグリビジネスの農業支配(農薬・種子販売という農業の川上から、作物を買い取って加工・流通させる川下までが垂直統合されると、非GMC生産農家は独自の販売ルートを確保しなければならない)、WTO・IMF・世界銀行体制の下でのグローバル化圧力(貿易の自由化・市場開放圧力による農業補助政策・環境政策の弱体化、途上国での換金・輸出作物偏重…>飢餓輸出、市場依存の強化、知的所有権の強化)が挙げられる。

 社会経済的リスク:GMCでは生物特許による種子の囲い込みが行われるので、自家採種・自家改良という伝統的な農家の権利が侵害される。また、種子と除草剤・殺虫剤のセットを毎年買うことになるため、小規模農家では生産コストがむしろ増大し、農地の劣化や離農・小作化により、貧富の差が拡大するとともに生産量の低下や食料安全保障の危機も考えられる。

 文化的リスク:主に第三世界の共有財産としての生物資源・伝統的知識・技術をバイオ企業が製品化・特許を取得して私物化することは、バイオパイラシーであるとの批判も根強い。また、アグリビジネスによる垂直統合や構造調整プログラムによって課せられる換金・輸出作物偏重が、多様な農業のあり方(伝統的農学・実践)の衰退、代替的方法の排除を招く。これは食文化・農業文化や生態系の美的・宗教的・倫理的価値など、文化の独自性の侵害とも言える。

 政治的リスク:GMCの輸入に対し各国が独自にリスク評価・管理・規制をすることは、農業貿易の自由化にとっては煩雑さが増し貿易障壁となる。国際基準を上回る(又はまったく含まれていない)規制をかけるには、明確な科学的根拠を示すよう求められるが、GM技術自体がハイテクでもあり、資金や設備・人材がなければ無理な上、広範な影響を事前に科学的に証明することは、先進国でも困難だ。
 バイオパイラシーを巡る生物特許の紛争でも、巨大バイオ企業を反駁する科学的根拠を示すことは、特に途上国には困難だ。また、文化的リスクとしてあげた農業の多様性の衰退・代替的農法の排除は、消費者にとっては選択の権利の侵害でもある。

2.ベネフィットを巡る争点
 しばしばGMCは「食糧危機打開の切り札」と喧伝されるが、現代の飢餓は生産・消費面での分配の不平等によるものであって、生産不足の問題ではない。世界の穀物生産量は80〜100億人を養うに充分だが、その44%は家畜飼料となり(マクドナルド・牛肉食文化の拡大)、8億人以上が餓えている。
 また、ビタミンA不足による子供の失明や死亡を解決すると宣伝されるゴールデンライスだが、一日のビタミンA必要量を摂取しようとすれば、二歳児でも7kgの飯を食べなければならない。そもそもビタミンA不足はモノカルチャーによる全般的な栄養不足の一面でしかなく、それをさらにモノカルチャー的技術で解決しようとするのはナンセンスだろう。

3.リスク管理の原則を巡る争点
 立証責任をどちらに課すかが問題となる。予防原則は安全性証明(GMCが安全である)に立証責任を課すことで、新しい知見や不確実性に柔軟に対応しようとし、リスクの範囲を広くとる。これに対し健全な科学(sound science)の立場は、危険性の証明(GMCは危険である)に立証責任を課すために、より新しい知見や未来の不確実性に対しては硬直的で、リスクの範囲を生物学的なものに限定する。EUは前者を、米国は後者を推しているが、欧州委員会内部では予防原則撤回の動きもあり予断を許さない。

4.知的財産権を巡る論争
 WTOのTRIPs協定や世界知的所有権機関(WIPO)の植物新品種保護同盟条約(UPOV条約)が国際的枠組みとなっているが、農家より開発企業の利益保護が重視され、コミュニティの共有財産を守るものではない。グローバルスタンダードとして機能し始めているTRIPs協定のもとで、生物特許は無制限に拡大中である。

●国際交渉の枠組みと焦点
〈カルタヘナ議定書〉生物多様性条約のもとでGMO(遺伝子組み替え生物)の国際移動に伴うリスクの評価・管理・意志決定のための国際ルールを定めるもので、2002年内の発効が期待されている。交渉に対する立場は、マイアミグループ(アメリカ、カナダ、オーストラリア、アルゼンチン、チリ、ウルグアイ)、EU、同心グループLike-Minded Group(開発途上国でアルゼンチン・チリ・ウルグアイ以外)の三つに分けられる(下表参照)。アルゼンチンは国内の種苗会社が米国系企業に買収されたため米国に同調している。
〈世界食料サミット〉2002年6月にローマで開かれたが、サミット宣言に「食料は人間の権利」という文言を盛り込むことを米国は拒否した。(詳細はhttp://www.foodfirst.org/)
〈その他〉OECDの専門家会合、WTOでの衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)・貿易の技術的障害に関する協定(TBT協定)・貿易関連知的財産権に関する協定(TRIPs協定)、世界食糧農業機関FAOと世界保健機関WHO合同食品規格委員会(コーデックス委員会)バイオテクノロジー応用食品特別部会、生物多様性条約・バイオセイフティ議定書(カルタヘナ議定書)を通じて、GMOの国際的なリスク管理、規制の枠組みの国際的整合化の作業が進められている。

●最後に
 遺伝子組み替え食品に、消費者として漠然と不安を感じることは間違っていない。だがグローバル化の中でGM問題を見ると、それはまず貿易問題であり、また農業や食文化そのものに関わる問題であることが分かってくる。企業の利益のために犠牲になる途上国と小規模農民と先進国の消費者とが、グローバルに手を結ぶ……そんな、より広い視点に立って未来を取り戻したい。(島田)

争点選択肢MGEULG採択文書での結果
リスク管理・事前合意手続等の適用範囲国際移動だけでなく通過・取扱・利用まで含めるか××一部を除いて○
食料・飼料・加工用まで含めるか×輸入可否の決定で考慮可
"バイオセイフティ"概念の範囲人の健康影響まで含めるか×
社会経済的影響まで含めるか××輸入可否の決定で考慮可
意志決定の原則予防原則を採用するか×
責任と保証被害発生の責任と保証を輸出国に求めるか××先送り
他協定との関係WTO協定に従属すべきか××WTO協定とは相互支持的

ATTAC犬

「で、トービン税って…………なんなん?」

「ふぅっ……(タメ息)。 お答えしよう。それは…」

 ATTACが導入を主張している「トービン税」とは、もともとは、ジェームズ・ トービンというアメリカのケインズ派の経済学者(1981年度のノーベル経済学賞 受賞者で、今年の3月になくなりました)が、1972年に提唱したものです。これは、為替取引にごく低率の税を課すことにより、金融市場の不安定性を減少させることをねらったものでした。しかし、トービンのこの提唱は、世界的に金融の自由化が進められていく当時の風潮の中にあって、自由な取引に規制をくわえる好ましくないものとして、ほとんど相手にされませんでした。この「トービン税」が、最近になって大きな注目を集めるようになってきたのには、二つの理由があります。
 一つは、1990年代に入り金融取引が飛躍的に増大したことです。世界の為替取引額は、1970年代はじめには1日に180億ドルだったのですが、90年代半ばにはその70倍の1.3兆ドルにも達しました。全世界の年間の商品輸出額がおよそ5.3兆円ですから、わずか4日間の為替取引でこれと同じ額になってしまうのです。こうした金融取引の増大を背景に、94年のメキシコ通貨危機や97年のアジア通貨危機のような、投機的な為替取引が一国の通貨を暴落させ経済をメチャクチャにするという事態が起きるようになり、こうした事態をいかに防ぐかが大きな問題となってきたのです。
 もう一つは、ATTACなどのNGOによって、途上国の累積債務問題や貧困、環境破壊などの問題の解決をはかるための資金源としての役割が期待されるようになってきたことです。1995年時点の為替取引額をもとに、為替取引に0.1%の「トービン税」を課した場合の税収を単純に計算すると、3120億ドルになります。1998年のOECD諸国のODA総額が518億円ですから、ほんのわずかな税率の「トービン税」がいかに巨額な税収を生むことが分かります。もっとも、最近は為替取引額はやや減少傾向にありますし、「トービン税」の導入そのものが為替取引を抑制する効果を持つので、実際の税収はここまで巨額にはならないと考えられますが、それでもかなりの額の税収があがることは間違いありません。国連の推計によれば、世界の貧困をなくす基礎的社会的支出に必要な金額は年間400億ドルであり、世界の最貧41カ国の累積債務総額は1998年で1690億ドルですから、「トービン税」の導入が、これらの問題の解決にむけた新たな展望をひらくことが期待されているのです。
 「トービン税」の税収を貧困などの解決のために活用しようという考え方は、トービンのもともとの主張にはなかったものであり、ここにATTACの主張の独創性があります。ちなみに、晩年のトービンは、国際貿易自由化路線に賛成の立場から、税収を富の再分配に使おうというATTAC的な「トービン税」に反対を表明していました。こうしたこともあってか、最近では「トービン税」のかわりに「為替取引税」という名称が使われることもあるようです。
 「トービン税」の導入をもとめる運動のもりあがりは、各国の議会をも動かしつつあります。フランス下院は昨年11月、欧州連合諸国が足並みをそろえることを前提に、「トービン税」の導入を法律化しました。また、カナダ国会は、1999年に世界で初めて「早期に導入すべきだ」との決議を採択しています。世界で初めて「早期に導入すべきだ」との決議を採択しています。
       (講釈師:田中 一郎)


シサム工房 エキゾティックな雰囲気が魅力のフェアトレード・ショップ
シサム工房

 京大理学部のすぐ隣、今出川通りに面したアパートの一階。エスニック風の落ち着いた雰囲気で、学生から主婦まで幅広い人気を誇るこのお店、実は結構名の知れたフェアトレード・ショップなのだ。市場を介さず、作り手と買い手を直接つなぐのがコンセプト。大量生産には無い、人の手の温かみ、それこそがこの店一番の自慢。おしゃれな小物から???なものまで、冷やかしだけでもじゅうぶん楽しい。アクセスは、京大北側、百万遍を東へ歩いて5分。  (紹介者:山沖)


事務局から (文責:小森)
☆次回8月定例会について
 学習会テーマ 日本のODAとアジア(仮題)
 講師 未定(ジュビリー関西、あるいはコトパンジャンダム被害者住民を支援する会から来ていただける予定です)
 日時 8/24/19:00~     場所 キャンパスプラザ京都 4階第4講義室
* いつもは第3土曜日ですが、8月例会はお盆と重なるため第4土曜日となっています。
* フランスの学生、Nicolas Dubois君が、8月例会に来てくれます。地域の反グローバリズム運動の取り組みなどの報告をしていただけます。乞うご期待!!

☆ジョゼ・ボベさんを迎え関西で集会
今秋、10月28日(月)にフランス農民連盟のジョゼ・ボベ氏(p.3の記事を参照)が関西にくることになりました。ボベ氏は、ATTAC−Japan(首都圏)の招請で来日します。仙台、東京、新潟、大阪、京都、福岡、長崎などを回るそうです。日本各地のグローバリゼーションの問題に取り組む個人・団体でそれぞれ実行委員会をつくってイベントをします。関西では、以下の日程で相談会が予定されています。これはチャンス!ATTAC京都グループとしても参加して、反新自由主義グローバリズム運動の全国的ネットワーク構築の契機にしたいなあ、と思います。ぜひ、みなさんもご参加を!
ジョゼ・ボベさん歓迎集会・相談会
7月29日(月)午後6時半
場所:エル大阪701号室
内容:ジョゼ・ボベさん招請の経過、歓迎イベントの大枠の決定、組織化の計画など
<問合せ・連絡等は、ATTAC関西事務局・喜多幡さん(06−6474−1167)まで>


齋藤光象さん ATTAC京都 メンバー紹介  その2
齋藤光象さん
(京都府立医科大学現代音楽研究会)

 はじめまして。(事務局の)小森さんとはかねてからの知り合いだったことが縁でこのATTACの活動に参加させてもらうことになりました。
 社会の様々な分野や立場の方々がそれぞれの特技を生かし合いながら何かの変化を起こすべく前進していくというATTACの活動形態はとても魅力的に感じられます。
 私の場合は普段から慣れ親しんでいる音楽というものをひとつの表現の材料としてメッセージを発信したいと考えています。
 そんな折に、今回のATTACテーマソング作曲の依頼を受けまして喜びと万感の思いを胸に創造力を無限に羽ばたかせながら作曲活動を急ピッチで進めている段階です。完成出来次第、発表したいと思いますので、よろしくお願いします。


イベント・集会情報  7月〜8月

7月21日(日)★上映会『教えられなかった戦争・沖縄編-阿波根昌鴻・伊江島のたたかい-』(高岩仁、映像文化協会)/開始時刻(2回)午後1:30、4:00/キャンパスプラザ京都 第三講義室/主催Do.net/参加費 前売800円(当日1000円)★「地球温暖化防止・京都発で何ができるか-ゴミと交通から考える-」/基調講演 植田和弘/「京都のゴミ問題」松本仁/「京都の交通問題」右衛門佐美佐子/午後1時30分〜午後5時/せいきょう会館4F会議室(烏丸夷川南東角;地下鉄烏丸線丸太町駅下車)/主催 地球温暖化防止京都ネットワーク/参加費 300円

7月23日(火)★連続講座「暮らしと水」第二回/「のみ水、すて水、かえりみず」山本時子さん/午後2時〜4時/世界水フォーラム交流プラザ京都3F第1会議室(烏丸竹屋町西入ル)/主催 世界水フォーラム市民ネットワーク/参加費 無料

7月24日(水)★公開フォーラム「サミットは地球を救えるか」〜ヨネスブルク地球サミットと京都議定書の運命〜」/報告 川上豊幸(APECモニターNGOネットワーク)、永元哲治(water advocates)/午後2時〜午後5時/キャンパスプラザ京都4階第4講義室/主催 京都精華大学/参加無料★「ヨハネスブルクサミットに向けて!」第6回学習会/「ヨハネスブルグサミットの現地の状況について」他/午後6:30〜8:30/弁天町市民学習センター(JR、地下鉄中央線 弁天町駅すぐ)/主催 APECモニターNGOネットワーク、地球環境と大気汚染を考える全国市民会議/参加費 500円

7月28日(日)★シンポジウム「アソシエーション革命の構想」/報告者 捧堅二・形野清貴・大藪龍介/午後1:30〜6:30/ドーンセンター(天満橋)/主催 21世紀研究会/参加費 1000円

8月6日(火)★連続講座「暮らしと水」第三回/「琵琶湖・鴨川・淀川」本間都さん/午後2時〜4時/世界水フォーラム交流プラザ京都3F第1会議室/主催 世界水フォーラム市民ネットワーク(烏丸竹屋町西入ル)/参加費 無料

8月10日(土)★ATTAC関西グループ例会/「NTT合理化と労働者の人権」山崎秀樹さん(大阪電通労組)/午後2時〜午後5時/スペースAK(南森町)/主催 ATTAC関西グループ/参加費 1000円

8月17日(土)★アムネスティ京都グループ例会「ハンセン病を生きる人びと」斉藤貞三郎さん/午後7時〜9時/大善院(高倉仏光寺下ル)/主催 アムネスティ京都グループ/参加費 500円










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